ハイネの格言、あなたは何を思う
新年お喜び申し上げます。今年も音楽エッセイ、どうぞ宜しくお願い致します。私からのお年始の一枚はこちら。
カウルバッハ◇少女とうさぎ
Herman Kaulbach ヘルマン・カウルバッハ(1846−1909)は19世紀の後半に子供の生活をテーマにした油絵画家です。父はバイエルン宮廷画家ヴィルヘルムはゲーテやシェークスピアの挿入画家としても有名で、またリストが交響詩「フン族の戦い」を作曲するきっかけになった絵の作者としても知られているのだそうです。
シューマン◇詩人の恋 より「美しき五月に」
ロベルト・シューマン(Robert Schumann 1810-1856)はドイツの作曲家でありロマン派音楽を代表する一人でもあります。また、ショパンも同年に誕生していて後にショパンのワルツ5番を絶賛するなど親交もありました。
さて、本日の作品「詩人の恋」。1840年に作曲されたハイネの詩「歌の本」の中の「叙情的間奏曲」による全20篇のうちの16曲であり、シューマンの連作歌曲の一つです。シューベルトと継ぐ代表的ドイツ歌曲作家となったシューマンの最も有名なものですが、典型的なピアノ作曲家らしくピアノ伴奏にも表現力が豊かであるように思われます。
1840年、この時期はクララと結婚した年でもあり、本人が「歌の年」と呼んでいるように愛の喜びを託した歌曲をたくさんかいたのです。他に「女の愛と生涯」「ミルテの花」「リーダークライス」が最高傑作のひとつといわれています。
「詩人の恋」は第1曲から第6曲までは「愛の喜び」を、第7曲から第14曲は「失恋の痛み」を、そして最後の2曲は「青春の回想」を歌っています。今日お届けする第1曲「美しき五月に」は愛の始まりを告げる美しい曲です。ピアノの分散和音は心のときめきを表しているのでしょうか。ドイツの冬は長く、五月にならないと春は来ません。その間人々は春の到来を心待ちにしているのでしょうね。ほら、メンデルスゾーンの「春の歌」も思い出しましせんか・・
<美しき五月に>
素晴らしく美しい五月に あらゆるつぼみが開き 僕の心の中にも 愛が花咲いた
素晴らしく美しい五月に あらゆる鳥が歌いだし 僕は彼女に打ち明けた 僕の憧れ 僕の望みを
ジョーンズ◇春の訪れ
◇ハイネ◇(1797−1856)代表的ロマン主義文学者でありながらもドイツロマン派への批判精神を失わないのが特徴で、詩の中に盛り込まれた皮肉をシューマンがどれほど音楽的に表現することができたかについてドビュッシーにより議論の的にされている、との事。またハイネはシューマンと同じ年に亡くなっています。
〜〜ハイネの格言より〜〜
*恋に狂うとは言葉が重複している。恋とはすでに狂気なのだ。
*幸福とは浮気な娼婦である。いつも同じところにじっとはしていない。
フィッシャーディスカウ:Fischer-Dieskau http://www.youtube.com/watch?v=AwZFrb-mt8I&feature=BF&list=PL53D750FAD90FEF31&index=1
〜〜〜〜 kumikopiano インフォメーション 〜〜〜〜
☆彡90話までのエッセイはこちらをご覧下さいhttp://plaza.rakuten.co.jp/kumikopiano/diary/
☆彡ニューイヤーコンサートご案内です。ソプラノの歌をメインに二人のピアニストが伴奏、またそれぞれソロを演奏いたします。
今日のエッセイでお届けしました曲を含めミュージカルハイライトやドイツリート・オペレッタなどお楽しみ下さい。
〜 〜 プ ロ グ ラ ム 〜 〜
美しき5月に・春の夜(シューマン)〜 すみれ・イドメネオより「穏やかな風よ」(モーツアルト)〜素敵じゃないの?・踊り明かそう(マイフェアレディ)〜星に願いを(ピノキオ)〜虹の彼方に(オズの魔法使い)〜サウンドオブミュージック・私の羊飼い(サウンドオブミュージック)〜チムチムチェリー(メリーポピンズ)〜あなたは私の心の皇帝(オペレッタ「お気に入りに家来」)〜熱きくちびる(オペレッタ「ジュディッタ」)
ピアノソロ: ため息(リスト) 春の歌(メンデルスゾーン) 即興曲2番(シューベルト)
演奏会、アルバムお問い合わせ k-honma@violet.plala.or.jp