語源はdivertire(楽しませる)divertirsi(楽しむ)なんですね〜

          73話:モーツァルト ディヴェルティメント ニ長調 K 136 第1楽章
モーツアルトに関する書籍を読むと面白い事が沢山あるようです。特に従妹宛てのエピソードはきわどいもの、愉快なもの沢山あるようですね。読者のみなさんでご存知のお話がありましたら教えて下さいね。

そうそう、モーツアルトが大好きなのは後世の音楽家にも沢山おり、影響を受けています。その中、ショパンもそうでした。彼は臨終まぎわに生涯の友でチェリストのオーギュスト・フランコムに語りかけた言葉は「私を思い出すときには、モーツアルトを演奏して下さい」

さて、今日お届けするこの曲は、ハイドンの作品からかなり影響を受けているとは言え、16歳のモーツアルトが書いた名曲中の名曲です。
ディヴェルティメント(自由な形式の器楽曲)というのはイタリア語の動詞 divertire (楽しませる) 、再帰動詞 divertirsi (楽しむ)、からきている言葉で、昔は「喜遊曲」と訳されていました。 このごろは訳さずそのままディヴェルティメントと呼ばれています。 この一連の曲はモーツアルトに特有のものではありませんが、モーツァルトを代表する音楽の一つのジャンルになっています。

例えばセレナードにも似ていますが少し違うのです。 セレナードは主として野外で演奏され、楽器編成もかなり大がかりですが、ディヴェルティメントは主に室内で演奏されます。 19世紀にはいったん廃れましたが、20世紀に復活し、バルトークらによって作品が残されています。
また、原則として楽器のパートは各パート一人ずつで演奏されることになっています。 また曲の用途も決まっているものが多数で、例えば貴族の食卓・娯楽・社交・祝賀などの場で演奏されある人の霊名の祝日用とか、宮殿の食卓のBGM用などです。
今日の動画を聴いてみると、なるほど日本でもどこかの洒落たレストランのBGMでは必ず流れていますね。


    フランソワ・ブーシェ◇パンティエーヴル公ファミリー(1768年)   
    François Boucher/1704−1788/フランスのロココ期画家


余談ですが・・・お茶の時間という事で・・・1760年、フランス王室はショコラ調進所を設立します。薬剤師ドボーヴがショコラ師に任命されます。ちょうどポンバドゥール夫人がなくなる4年前です。17世紀なかばには貴族のお茶の時間が大衆層にもひろがり、チョコレート・ハウも誕生しました。また、オペラハウスにコンディトライがあり、「甘い7年戦争」のデメルがウィーンに創業したのが1786年。「ウィーンの都はオペラ座デメルでもつ」な〜んていう格言もあるとか。。

モーツアルトはこのディベルティメントは20曲以上作曲しています。今日の曲は1772年のはじめ、モーツアルトが続けて3曲作曲した中の1曲にあたります。

楽器編成はヴァイオリン2、ヴィオラ、チェロ、(コントラバス)(弦楽4・5重奏)。天衣無縫、無垢な美しさと明るさはこの曲全体に包んでいますが、特に冒頭から流れ出るこの第1主題は美しく、それ故に大変ポピュラーで、おそらくモーツアルトのディヴェルティメントと言えば、このテーマと言っても過言ではないでしょう。
http://www.youtube.com/watch?v=33LPQybkfvk&feature=related

この曲は先だって書いた四手のための「ピアノ・ソナタニ長調K.38(123a)と多くの点で共通したものをもっていることが指摘されているます。
☆Radu Lupu & Murray Perahia
http://www.youtube.com/watch?v=v58mf-PB8as&feature=related

            くみこpiano・ youtube チャンネル 

       自分自身の演奏ですが聴いて下さったら嬉しいです(6曲アップ)
       http://www.youtube.com/user/kumikopiano?feature=mhw5

      

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